母から聞いた昔話1

私がまだ小学生で、母はパートとして働いていて、両親の間にまだ会話があったころのこと。

 

それまで父が全てのお金を管理していたが、母にお金の管理をしてほしいと頼んだそう。

 

母は了承し、通帳を受け取った。

 

父が管理していた時、母は家にどれほどのお金があるのか把握していなかった。食費が必要であれば、金額を父に伝え、受け取っていた。

 

しかし、母は通帳の中を見て驚いた。

父は僅かではあるが、借金をしていた。

自分が食費などを要求した時、お金が足りなくて借りていたことがわかったのだ。

 

きっと母の貧乏性はここから始まった。

 

必死に節約するようになったのだろう。

 

おそらくだが、この頃から外食に行く回数が月に1回から徐々に減っていった。

事の発端

私は大学への進学を機に上京した。

そしてそれと同時に母が一人暮らしを始めた。

 

母が一人暮らしを始めた理由

「(私)ちゃんがいない家なんてつまらない。

だから、ママも一人暮らし始めるんだ。」

私が故郷を発つ際、見送りに来ていた母が言った。

 

私がいなくなった後の母への負担を考えれば、受け入れられた。

 

我が家のこと

我が家は父と母と私と弟の4人家族。

子供と親の関係は割と良好だが、親同士での会話が無い家庭。

 

この家で家事をしていたのは主に母。

母が忙しい時と疲れてる時は私。

そんな役割分担で回っていた。

 

人物紹介

父の仕事はチェーン飲食店のAM。

不定休で、出勤時間と退勤時間はバラバラ。

不規則な生活をしている為か、夜遅くまで起きていることが多い。毎日リビングでテレビを付けたまま寝てる。料理は目玉焼きと、チャーハンの素を使ってしかできない。本人によるとカレーも作れるらしい。実家は裕福寄り。

 

対して母は公務員。

と言っても、数年前まではチェーン飲食店でパートとして働いていた。高学歴で資格も持っていたため、仕事をしながら勉強して公務員採用試験を受け合格。残業があるようにはなったものの、規則的な生活を心がけている。すぐに父の収入を上回った。実家は裕福でエリートだらけだが、母自身は貧乏性。

 

私は二浪してやっと大学生になった。

宅浪だったため、週に3,4日ほど夜ご飯を作っていた。他の家事も手伝いの範囲だが、した。お金使うこともほとんどないのでお小遣いは無し。その代わり、買い物に荷物持ちとしてついて行って、お菓子買ってもらったりしてた。

 

弟は高校を留年した末に退学。

しかし、高卒資格を取り、私の大学進学とともに地元の専門学校に進学。高校退学後は母の実家に行き、エンジョイしていた。そこで祖母の手伝いなどをしてお小遣い稼ぎをしていたらしい。

 

母の不満

母と私以外が家事をしないこの家で、私がいなくなった場合、必然的に母が全てすることになっていただろう。

はっきり言ってそんなのいじめに等しいと私は思った。

毎日一日中家にいた私から見れば、明らかに母の方が勤務時間が長いとすぐにわかる。

だからこそ、私が夜ご飯をつくるようにしていたのだ。母が帰ってきたら、温めて食べられるように。

それが無くなれば母はストレスで体調を崩すようになるのは明白だ。

自分1人の分なら週末にまとめて作ったりしておけば済む。

だが、自分の他に食欲旺盛な2人の分を作らなければならないのは大変だろうと思う。

 

ここで更にストレスを感じる出来事がある。

2日連続で同じ肉、または野菜を使うと、父が「今日も○○だあ」と言う。本人にそんなつもりが無くとも、作った側には文句に聞こえる。

そして、我が家では魚が高いのであまり食卓に登場しないのだが、そうするとまた父は「最近魚食べてないな」と言うのだ。

「言葉にして言うなら自分で作れ」と何度言いたかったか。言えなかったが。

 

帰ると溜まっている自分の物以外の洗濯物や使った食器、食事をしたままの汚れた食卓、真夜中の睡眠の妨げになるテレビの音などなど。

これらが母にストレスを与え続けていた。

 

その結果、母も準備を進め、私と同時に一人暮らしをスタートした。

毎日お惣菜はやめない?

私はちょっと勇気を出して父に言いました。

「お惣菜ばっかりは、その、良くなくない?」

 

「え、このハンバーグは?」

 

そう言って父が取り出したのは、私が母に買ってもらった2割引のレトルトハンバーグ。

ぅ、タイミング悪いぃ

 

「それは値引きされてたからお母さんに買ってもらったやつ。」

 

「このハンバーグ元値250円もするやん。

これ98円だよ?」

 

「ハンバーグは値引きされない限り買わないよ?お父さんは毎日お惣菜じゃん。安くても、塵も積もればだよ?」

 

「そうかぁ。いや、でも、疲れてるし。」

確かに父の帰宅は夜の22時過ぎ。

 

「毎日買ってばっかだとお金すぐ無くなっちゃうよ?」

だが疲れてるか、など関係ない。

そういう話ではない。

 

「だって疲れてるんだよ…」

 

疲れていたら何でも許されるのか?

否。厳しいかもしれないけど、それを言い訳にして料理しなくて死なれたら、元も子も無い。

 

というか料理は簡単なものなら難しくない。

 

私がいつまで実家にいるかわからないんだから、自分の分くらい苦もなく出来るようになってくれなきゃ困る。